低尿酸血症を知りたい方へ

低尿酸血症の原因と対策

日常注意するポイントは?

低尿酸血症の人が合併症を起こさないようにするために、日常生活ではどのような点に注意を払えば良いのでしょうか。普段の生活で気を付けるべきポイントをお伝えします。

腎性低尿酸血症の人は、運動後急性腎障害と尿路結石に注意

今のところ、尿酸が低いことが原因で何らかの疾患が引き起こされることはないと考えられています。ただし、尿酸が低いため合併症が起こる可能性があります。

合併症は2つあり、運動後急性腎障害と尿路結石症です。日本人における低尿酸血症の大半は腎性低尿酸血症ですが、腎性低尿酸血症の約10%の人が運動後急性腎障害や似た症状を、約7~10%の人が尿路結石症を経験しています。

運動後急性腎障害は、運動の数時間後から1日後に発症する合併症で、背中や腰の痛み、吐き気、嘔吐、尿の量が少なくなるなどの症状が出ます。一時的に透析が必要になることがありますが予後は良好で、1週間から1ヶ月で腎機能が回復し日常生活に戻れます。

運動後急性腎障害を避けるためのポイント

運動後急性腎障害の原因はまだよく分かっていませんが、活性酸素が関与している、または尿酸が腎臓の中に詰まるなどの考え方があります。尿酸は体内で増え過ぎた活性酸素に対し、働きを抑制する抗酸化作用の働きをします。ところが尿酸値が低いと十分に抗酸化作用が働きません。運動後の体内では活性酸素が増えるのですが、尿酸による抗酸化が行われないため、増加した活性酸素により腎臓の動脈が収縮して血液が運ばれなくなります。このため急性腎障害になると考えられています。

もう一つの仮説は、運動により尿酸の産生量が急激に増加して、その尿酸が腎臓の尿細管という管の中に析出して、尿細管が詰まってしまうというものです。

これらの仮説には、それぞれ否定的な事実もあります。この運動後急性腎障害の治療や予防のためには機序の解明が必須であるため、さらなる今後の研究が必要となっています。

運動後急性腎障害は、激しい無酸素運動と脱水症状、非ステロイド性抗炎症薬()の内服など、何らかの要因が重なったときに起こると推測されています。低尿酸血症の人は、短距離走や筋肉トレーニングなどの短い時間に強い負荷がかかる無酸素運動を避け、脱水症状にならないようこまめに水分を補給することが大切です。

尿路結石症を避けるためのポイント

低尿酸血症の人に起こりやすいもうひとつの合併症が尿路結石症です。腎性低尿酸血症の場合、腎臓で排泄される尿酸の量に対し、腎臓の外へ排泄される尿酸の量が少ないため、結果的に腎臓内の尿酸が増えることが原因だと考えられています。

尿路結石症を避けるポイントは、しっかり水分補給し尿が濃くなりすぎないよう心がけることです。また、プリン体を多く含む食材をできるだけ減らし、意識的に低プリン食を選ぶようにしましょう。

(※)抗炎症作用、鎮痛作用、解熱作用がある薬

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