低尿酸血症の原因と対策
尿酸値を低下させる原因

なぜ尿酸値が低くなるのか
血液検査の結果、尿酸が2mg/dl以下だと低尿酸血症だと判断されますが、なぜ尿酸の値が低くなるのでしょうか。薬などの影響により尿酸値が低くなるほか、それらとは関係なく尿酸値が低くなるケースがあります。
体内で作られた尿酸がすばやく排出されすぎてしまうケース
体内で作られた尿酸の約70%は腎臓から尿の中に排泄されています。腎臓の中では、最初に最も多くの尿酸が尿の中に排泄され、その尿酸の多くは尿細管という場所で再び吸収されています。ところが、この再吸収する機能を果たす遺伝子が変異しているケースがあります。すると体内で作られた尿酸を十分に再吸収できず、体外にたくさん排出されてしまうため、尿酸値が低くなることがわかっています。これを腎性低尿酸血症と呼びます。
日本人で低尿酸血症の診断をされた人のほとんどが腎性低尿酸血症で、遺伝的な要因が大きく関与しています。尿酸を再吸収することができず尿酸値が低くなる以外の変化はまだ確認されていませんが、尿酸値が低いことによる合併症が起こりやすくなります。心配される主な合併症は運動後急性腎障害と尿路結石症です。運動後急性腎障害は、無酸素運動(激しい運動)と脱水症状や非ステロイド性抗炎症薬を内服した時といった条件が重なったときに起こると考えられています。腎性低尿酸血症の人は激しい運動と脱水症状に注意し、合併症を予防しましょう。また、意識的な水分補給は、尿路結石症の予防にもつながります。
体内で尿酸を作れないケース
役目を果たした細胞は私たちの体の中で分解されます。細胞の核酸(DNA)を構成しているプリン体は、分解されるとヒポキサンチンになり、そこからさらにキサンチンに分解され最後に尿酸になります。ところが、プリン体から尿酸までの分解を助けるXOR(キサンチン酸化還元酵素)という酵素が欠損しているとプリン体を尿酸まで分解できず、血液中の尿酸値が低くなります。
XORの欠損により尿酸を作れない疾患をキサンチン尿症と呼びますが、非常に稀です。尿酸が少なくなる以外の症状は認められていませんが、キサンチン尿症の人は尿路結石症の合併症を起こしやすいことがわかっています。日頃から水を多く飲んで尿路結石を予防し、低プリン食を心がけると良いでしょう。
薬などの影響で二次的に尿酸値が低下するケース
このほか、肝障害、悪性腫瘍、糖尿病や尿酸に影響を与える薬を服用した際、この影響により尿酸値が低下することもあります。
主な尿酸排泄亢進型低尿酸血症(尿酸が多く排出されすぎてしまうケース)
- ファンコニー症候群
- ウィルソン病
- 抗利尿剤ホルモン不適合分泌症候群
- 悪性腫瘍
- 糖尿病
- 薬物(ベンズブロマロン、プロベネシドなど)
- 妊娠
- 難治性下痢
主な尿酸産生低下型低尿酸血症(体内で尿酸を作れないケース)
- モリブデンコファクター欠損症
- プリンヌクレオシドホスホリラーゼ欠損症
- PRPP合成酵素活性低下症
- 特発性尿酸産生低下型低尿酸血症
- 重症肝障害
- 薬物(アロプリノール他)
- るいそう(低栄養状態)
これらは、腎性低尿酸血症およびキサンチン尿症と違い、治療が必要とされる場合が多く、医師の診断・指示に従いましょう。