低尿酸血症を知りたい方へ

低尿酸血症ってどんな病気

どんな合併症があるの?

私たちの体内で尿酸がどのような役割を果たすかという研究は、まだあまり行われていません。また、これまで長い間「尿酸が低くても健康上、特に問題はない」と考えられていました。そのため、低尿酸血症が何かの病気の原因になるかどうかはまだ証明されていません。しかし、尿酸が少ないことに関連する合併症は報告されています。

運動後急性腎障害

腎性低尿酸血症の人に起こりやすい合併症に、運動後急性腎障害があります。まだ、運動後急性腎障害の原因はよく分かっていません。しかし、いくつかの仮説が考えられており、活性酸素の関与や尿酸が腎臓に詰まるなどが提唱されています。

活性酸素という言葉は、聞いたことがある人も多いでしょう。活性酸素は常に体内に存在する成分で、体に入って来たウィルスを退治し免疫力を高める働きをします。しかしその一方で、細胞を傷つけ錆びつかせて、体を老化させる働きもします。尿酸には、活性酸素の働きを抑制する抗酸化作用があります。

体内の活性酸素は、運動やストレスによって増加します。活性酸素が急に増え過ぎると、腎臓の血管が収縮し、血液が十分に腎臓に届かなくなります。すると腎臓が血液不足に陥り、急性腎障害を引き起こします。低尿酸血症の人は活性酸素の働きを抑える尿酸が少ないことから、運動後急性腎障害になりやすいと考えられています。

もう一つの仮説は、運動により尿酸の産生量が急激に増加して、その尿酸が腎臓の尿細管という管の中に析出して、尿細管が詰まってしまうというものです。

これらの仮説には、それぞれ否定的な事実もあります。この運動後急性腎障害の治療や予防のためには機序の解明が必須であるため、さらなる今後の研究が必要となっています。

運動後急性腎障害になると、運動の数時間後から1日後を目安に腰や背中の痛み、吐き気、嘔吐、尿が出にくくなる症状が起こります。予後は比較的良好で、一時的に透析が必要になる場合もありますが、1週間~1ヶ月で腎臓の機能は回復します。

運動後急性腎障害は、短時間に強い力を使う無酸素運動(短距離走や筋肉トレーニングなど)を行った際に起こることが多いのですが、軽い運動で起こる場合もあります。運動によって必ず起こるわけではなく、激しい運動にプラスして脱水状態や、非ステロイド性抗炎症薬()の服用など、いくつかの原因が重なったときに起こりやすいと考えられています。

腎性低尿酸血症の約10%の人に、運動後急性腎障害になった経験や疑わしい症状があったことがわかっています。運動後急性腎障害は繰り返すことが多いため、激しい運動は控え、水分をこまめに、そして多めに摂取するよう心がけましょう。

尿路結石症

尿路結石症は、キサンチン尿症の人や、腎性低尿酸血症の人の約7%の人に認められる合併症です。腎性低尿酸血症の人は、腎臓外に排泄する尿酸の量は少なく、そのぶん腎臓内の尿の尿酸排泄量が多いことがわかっていて、それが原因だと考えられています。

キサンチン尿症の場合は、尿酸への代謝ができないことから、その前の段階のキサンチンという物質が増加して、尿路結石を起こしやすくなります。

尿路結石症は成人に多い症状ですが、生後15カ月の赤ちゃんでも尿路結石の報告があり、年齢に関わらず起こる可能性がある合併症だと言えます。

結石が腎臓にある間は痛まないのですが、腎臓から尿管に移動するとものすごい痛みに襲われます。痛いだけでなく、石で尿が排出されるのを邪魔されるため、石が尿管を傷つけるため血尿が出る場合もあります。

水分が少なくなると、尿の濃度が高くなるため結石ができやすくなります。こまめに水を飲んで脱水症状にならないようにし、尿が濃くなり過ぎないよう心がけることで、尿路結石症を予防できます。

(※)抗炎症作用、鎮痛作用、解熱作用がある薬

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