低尿酸血症ってどんな病気
低尿酸血症の診断とは?

尿酸値が低い以外の症状がない低尿酸血症には、体内で作られた尿酸を多く排泄しすぎてしまう腎性低尿酸血症と、プリン体を尿酸まで分解する酵素が欠乏しているために尿酸を多く作れないキサンチン尿症の2つがあります。日本では、低尿酸血症のほとんどが腎性低尿酸血症です。このほか、薬の影響などのように、他の疾患などが原因で(二次性)低尿酸血症になる場合があります。
低尿酸血症になる疾患
低酸血症は、体内で作られた尿酸をすばやく排出しすぎることで尿酸が少なくなるタイプ(尿酸排泄亢進型低尿酸血症)と、尿酸をたくさん作れないために尿酸が少なくなるタイプ(尿酸産生低下型低尿酸血症)があります。
尿酸排泄亢進型低尿酸血症(尿酸がすばやく排出されすぎてしまうケース)
- 腎性低尿酸血症
- ファンコニー症候群
- ウィルソン病
- 抗利尿剤ホルモン不適合分泌症候群
- 悪性腫瘍
- 糖尿病
- 薬物(ベンズブロマロン、プロベネシドなど)
- 妊娠
- 難治性下痢
尿酸産生低下型低尿酸血症(体内で尿酸を作れないケース)
- キサンチン尿症
- モリプデンコファクター欠損症
- プリンヌクレオシドホスホリラーゼ欠損症
- PRPP合成酵素活性低下症
- 特発性尿酸産生低下型低尿酸血症
- 重症肝障害
- 薬物(アロプリノール他)
- るいそう(低栄養状態)
この中で腎性低尿酸血症とキサンチン尿症の2つは、薬などによる二次性低尿酸血症ではなく、尿酸値が低い以外に治療が必要な症状や自覚症状を示しません。日本ではほとんどが腎性低尿酸血症です。
腎性低尿酸血症の診断
腎性低尿酸血症であることを診断するためには、複数回の血液中の尿酸値の測定を行い、尿酸値が2.0㎎/dl以下であることを確認して、どのくらいの効率で血液中の尿酸が尿に排泄されているのか(尿酸クリアランス)や、尿の中への尿酸の排泄率(尿酸排泄率)を確認する必要があります。
私たちの体は、尿が体外に出る前に、尿細管から尿酸が再吸収され、最終的に体外に排泄する尿酸のうち約70%の尿酸を腎臓から尿に排泄しています。しかし腎性低尿酸血症の人は、尿細管から尿酸を再吸収する働きをする遺伝子の変異により、尿酸が再吸収されずに尿と一緒に体外に排出されてしまいます。そのため、尿酸の排泄の効率(尿酸クリアランス、尿酸排泄率)が上昇するという特徴があります。
ただし、種々の理由で一時的に尿酸が低下していることもあるため、検査は複数回行われます。
キサンチン尿症の診断
割合は低いのですが、低尿酸血症の中には腎性低尿酸血症ではなくキサンチン尿症の人もいます。キサンチン尿症の人は、プリン体を尿酸まで分解する酵素を持たないため、尿酸が少なくなります。
キサンチン尿症の場合、尿の中に含まれる尿酸の量も非常に少ないため、尿を検査すれば腎性低尿酸血症なのかキサンチン尿症なのかを鑑別できます。