低尿酸血症を知りたい方へ

低尿酸血症ってどんな病気

低尿酸血症とはどんな病気?

健康診断で尿酸値が正常値より下回り、低尿酸血症だと指摘される人が増えています。「高尿酸血症だと痛風の恐れがあるけれど、低尿酸血症って?」と聞き慣れない言葉に不安をかきたてられる人も多いのではないでしょうか。

血液中の尿酸が低いが、自覚症状はない

低尿酸血症とは、血液中の尿酸の濃度が正常値より低くなる状態を指します。私たちの体を流れる血液には尿酸という成分が混じっていて、1dL(100mL)の血液中の尿酸が7.0mg/dLを超えると高尿酸血症、2.0 mg/dL以下を低尿酸血症といいます。

これまでも血液中の尿酸値が低い人はおり、尿酸値が低いこと自体が何かの疾患を引き起こすことはなく、治療が必要となることもないと考えられてきました。また、本人が自覚できる症状もありません。そのため、検診を受けて尿酸値が低いことがわかっても、特に指摘されず、本人も知らずに過ごすことがほとんどでした。

低尿酸血症による合併症

なぜ尿酸値が低いことを指摘されるようになったかというと、低尿酸血症の研究が進み、少しずつ病態が分かってきたためです。尿酸値が低いことが直接的な病気の原因にはならないのですが、低尿酸血症の原因となる疾患によっては、いくつかの合併症が起こりやすいことが明らかになりました。

低尿酸血症の中で、起こりやすい合併症は2種類あります。

ひとつは腎性低尿酸血症の人に起こりやすい、運動後の急性腎障害。もうひとつは尿路結石症です。ただしこれらの合併症は、腎性低尿酸血症の人すべてに起こるわけではなく、特定の条件のもとで発症しやすいと考えられています。合併症を経験した人の割合も約10%です。また、運動後急性腎障害を起こしても予後はおおむね良好で、ほとんどの場合、1週間~1ヶ月で通常の生活に戻れます。

運動後急性腎障害は激しい無酸素運動を行い、さらに脱水症状や非ステロイド性抗炎症薬(※1)の内服など、特定の条件が重なったときに起こりやすいと考えられています。そのため、腎性低尿酸血症の人は激しい運動をできるだけ避け、しっかり水分を補給するよう心がけましょう。多めの水分補給は尿路結石の予防にも役立ちます。

無症状の低尿酸血症の他の疾患として、キサンチン尿症があり、キサンチン尿症でも尿路結石が合併しやすくなります。ただし、海外ではキサンチン尿症への尿路結石の合併が多く報告されていますが、日本ではあまり多くないようです。食事や気候などが関連しているのかもしれません。尿路結石の予防として、やはり水分を補給するように心がけましょう。

合併症を起こさないように気を付けた方が良いポイントがあるとはいえ、低尿酸血症はこれまで長い間「特に問題はない」と考えられてきました。また、現時点では低尿酸血症の治療方法もありません。尿酸値の低さを指摘されたからといって必要以上に怖がらず、注意すべき点に意識を向けていれば、普通の日常生活を送ることができます。

(※1)抗炎症作用、鎮痛作用、解熱作用がある薬

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