低尿酸血症を知りたい方へ

低尿酸血症ってどんな病気

どんな世代、性別に多いのか

血液中の尿酸の値が低くなる低尿酸血症は、どのような人に多く発症するのでしょうか。

低尿酸血症は遺伝的要因がほとんど

高尿酸血症は遺伝的な要因と環境的な要因の影響を受け、多くの場合成人の男性に発症します。しかし低尿酸血症は、薬などによる二次的なものを除くと、ほとんどが遺伝子の変異に伴うものです。そのため、生活習慣や生活環境よりも遺伝的な影響を強く受けています。

尿酸の値が低すぎること自体が病気の原因になることはなく、自覚症状もありません。本人や家族も気づかず、健康診断や人間ドックで血液検査をした際に初めて指摘されることがほとんどです。また、最近になり低尿酸血症の研究が進むまでは「尿酸値が低くても病気にはならない」「問題はない」と考えられてきたため、指摘されることもなく成長して大人になったという人も少なくないでしょう。

低尿酸血症は日本人の女性に多い

全体の中でどのくらいの人が低尿酸血症になっているかを調べると、男性が0.14~0.22%、女性が0.25~0.40%で、男性より女性のほうが多いことがわかります。これは、血液中の尿酸の量が2㎎/dl以下だと低尿酸血症と判断しているためで、もともと男性よりも尿酸値が低い女性のほうが多く当てはまることが関係しています。

症状を認めない低尿酸血症は、尿に含まれる尿酸をうまく再吸収できずたくさん排出してしまう腎性低尿酸血症と、体内のプリン体を尿酸まで分解する酵素を持たないため尿酸値が低くなるキサンチン尿症の2つに分けられます。日本ではほとんどが腎性低尿酸血症です。この腎性低尿酸血症を調べると、日本人に多く、性差だけでなく人種差もあると考えられています。

閉経後の女性は尿酸値が少し高くなる

日本の24都道府県の男女を対象に行った調査では、男性の低尿酸血症の有病率は40代から70代までほぼ一定でした。しかし、女性では40代の有病率が0.6%台だったのに対し、50代では0.5%台、60代では0.4%台と減少し、70代でまた少し上昇しています(※)この調査では閉経の有無までは確認していませんが、日本人女性の8割が45歳~54歳で閉経を迎えることから、女性ホルモンが減少していることが原因だと考えられます。

女性ホルモンには尿酸を体外へ排出しやすくする働きがありますが、閉経により女性ホルモンの分泌量が減ったため、体外へ排出される尿酸が減って尿酸値が高くなったと考えられています。

(※)Wakasugi, M. et al. Association between hypouricemia and reduced kidney function: a crosssectional population-based study in Japan. Am. J. Nephrol. 41, 138-146 (2015). 

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