低尿酸血症を知りたい方へ

低尿酸血症の原因と対策

低尿酸血症の原因は?

これまでほとんど知られることがなかった低尿酸血症ですが、健康診断や人間ドックで尿酸値が低い場合、指摘されるようになりました。低尿酸血症になる理由は主に2つあります。

低尿酸血症になる理由

血液中の尿酸の量が少ないのが低尿酸血症です。通常であれば、運動や食事により体内で生産される尿酸と、尿や便、汗から体外へ排出される尿酸の量はバランスが取れていて1dL(100mL)の血液中に、尿酸が男性は3.7~7.8mg/dL、女性は2.6~5.5mg/dL()の間で保たれています。これを下回って尿酸が少なくなる原因は、2つ考えられます。

  • 尿酸が生産されても、すばやく体外に排出されてしまう。
  • 体内で生産される尿酸の量が少ない。

尿酸をすばやく排出してしまうため、低尿酸血症になる

腎臓で作られた尿の中の尿酸は、そのすべてが尿と一緒にそのまま体の外に出るわけではなく、多くは尿細管から再び吸収されます。そのため、最終的に尿となって出ていくのは最初に尿の中にある尿酸の10%以下です。しかし一部の人は尿細管で尿酸を再吸収できず、尿と一緒に多くの尿酸を排出していることが分かっています。この症状を持つ人を腎性低尿酸血症と呼び、日本では低尿酸血症のほとんどが腎性低尿酸血症です。

腎性低尿酸血症になるのは、尿細管から尿酸を吸収する働きをする遺伝子が変異していることが原因で、遺伝的な要因が大きく関与しています。

体内でプリン体を尿酸に分解できないため、低尿酸血症になる

プリン体とはプリン骨格を持っている体の中の物質の総称で、アデニンやグアニンといった核酸やATPなどの多くの物質に含まれていて、生物にとって必須な物質です。そのプリン体が分解されていくと、最後は尿酸となって、体の外に排泄されます。

プリン体から尿酸になる過程でXOR(キサンチン酸化還元酵素)という酵素が働くのですが、この酵素が体内になければ尿酸を作ることができません。XORが欠損しているため尿酸を作れないのをキサンチン尿症と呼びますが、非常にまれなケースです。

腎性低尿酸血症もキサンチン尿症も、尿酸の値が少なくなるのみで、治療が必要な症状を起こすこともなければ、自覚症状もありません。

薬などによる二次的な低尿酸血症

このほか、もともと患っている病気の治療のため、尿酸の合成を抑制したり、排泄を促進したりする作用も持っている薬を使用したことで尿酸値が低くなることがあります。また、疾患によっては、種々の症状とともに尿酸が下がる場合があります。これらの場合は腎性低尿酸血症やキサンチン尿症とは違い、治療や対処が必要となるケースがあるため、医師の診断と指示に従いましょう。

(※)日本臨床検査医学会、日本臨床化学会、日本臨床衛生検査技師会、日本検査血液学会が定める共用基準範囲

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